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自動車対大型バイクの裁判例(後遺障害逸失利益の算定)

 grace_image東京地判平成26年12月24日自保ジャーナル1940号46頁の裁判例をご紹介します。

事故態様:大型自動二輪車が片側2車線の第2車線を走行中、駐車場に後退進入しようとして、切り返しをしていた自動車が二輪車の進路を妨害する形となって衝突

被害者の傷害内容:頸髄損傷、四肢麻痺、左膝挫傷(神経損傷)、頸髄損傷による神経因性膀胱後遺障害等級:四肢麻痺等の後遺症は脊髄の障害が原因だと認められ、後遺障害等級3級3号に認定されました。

「後遺障害逸失利益の算定」

 この裁判での争点はいくつかありますが、後遺障害逸失利益についての問題をご紹介します。被害者は事故に遭遇する3年前に靱帯損傷、尿管結石、腎梗塞、腎動脈瘤を発症していました。被害者は、歯科医師でしたが、前述の傷病の影響で歯科医師の仕事ができない期間がありました。よって事故の前年の所得額はとても低かったのです。事故に遭遇する3年前に比べると半分の額でした。保険会社はその金額を後遺障害逸失利益の算定における基礎収入にするべきだと主張してきました。

「裁判所の判断」

 被害者の体調は、事故に遭遇する前年には回復過程にありました。歯科医師としての診療もできる状態でした。よって裁判所は、事故に遭遇する3年前までの所得の平均額を基礎収入として後遺障害逸失利益の算定を行いました事故に遭遇する前の年の所得からするとおよそ1.3倍の金額です。事故の直前に特殊な事情があって収入が減少していたとしても、必ずその金額で算定されてしまう訳ではないことがこの裁判例からわかります。この判決において被害者は2億3000万円弱の賠償を受けるべきだという結論が示されました。事故に遭遇しないことがいちばんですが、もし交通事故に遭い、重い後遺障害が残存してしまったとしたら、今後の生活のためにも適正な賠償金を獲得しなければなりません。納得のいかない賠償で終わってしまうと、被害者もそのご家族も二重に苦しむ結果となってしまいます。