裁判例のご紹介(自動車対歩行者)
京都地判平成25年2月14日の裁判例をご紹介します。事故態様:国道を歩いて横断中、左方から進行してきた車と衝突
傷害名:左下腿骨解放骨折、左脛骨高原骨折、外傷性脾損傷、外傷左腎損傷、後頭部打撲、右膝挫傷等
被害者が認定された後遺障害等級:併合7級
・外傷性脾臓破裂に伴う胸腹部臓器の障害 8級11号
・左下腿骨開放骨折に伴う左下腿部痛、開放骨折部知覚過敏、1日の1/3は左下腿や足部の痛みが気になっている状態等 12級13号併合7級
・上記を併合して7級
※脾臓摘出について、平成18年4月1日以降は13級11号に認定されるようになりました。今回の事故は、平成16年に発生したので、旧基準によって8級と認定されています。)
この裁判には様々な争点があり、後遺障害の評価についても問題となりました。被害者は脾臓摘出については8級、左足関節部の機能障害は10級、左足首から左膝にかけての疼痛は7級または9級、下腿部の骨癒合が不整癒合であることは8級、右膝関節部の疼痛は12級、3か所の手術痕及び1か所の傷痕、皮膚の変色は12級などの主張をしました。
しかし、全て裁判所に退けられました。裁判所は脾臓摘出は13級に該当し、左下腿骨開放骨折に伴う左下腿部痛、開放骨折部知覚過敏、1日の1/3は左下腿や足部の痛みが気になっている状態等を12級13号に該当すると判断し、骨癒合が不整癒合である証拠はなく、右膝関節部の疼痛に関しては半月板損傷であることの証明がないことから、被害者の主張を容れず、醜状痕については、14級に該当するとしました。
「弁護士の諦めの悪さが良い結果を招いた例」
被害者の後遺障害等級は、裁判所の認定によれば11級となるはずです。労働能力喪失率についても、20%という、11級に対応する数字で判断をしています。しかし裁判所は、7級に対応する金額である1000万円を後遺障害慰謝料として判断しました。被害者の肉体的、精神的な苦痛を考慮したと考えられます。
私は正直、被害者の主張に無理があるものもあるのではないかと思っていました。この主張がいたずらに解決を遅らせてしまったのではないかとも考えました。しかし7級相当の後遺障害慰謝料を認定してもらった結果を見ると、その主張は無駄でなかったといえると思います。弁護士の粘り強さが良い結果に繋がった例としてご紹介しました。