裁判例のご紹介(自動車対自転車)
とある裁判例をご紹介します(東京地判平成26年8月27日)。
- 事故態様:国道を自転車で走行中、後方から自動車に追突される。
- 傷害名:胸椎圧迫骨折
- 認定された後遺障害等級:8級
- 脊柱の変形障害:8級
この事故では後遺障害逸失利益について争われました。なぜなら、被害者の頑張りにより、事故に遭遇する前と後で職務内容や給与に変化がなかったためです。
しかし、実際には被害者の方は脊柱の支持力低下や肉体的苦痛を伴いながら職務を遂行し、収入が下がらないように努力していたのです。このような事情を考えると、収入に変化がなかったからといって、後遺障害逸失利益が認められないのはおかしいというのが、一般的な考えだと思います。
「裁判所の判断」
裁判所は、減収がないのは被害者の努力等によるものであって、将来的に労働能力喪失に伴う減収が発生する蓋然性があるとして、労働能力喪失率36%を認めました。これは金額にすると3891万5743円です。
このように、事故に遭遇する前と後で給与が変わらないからといって、後遺障害逸失利益が認められないと諦めてはいけません。きちんと主張や立証をすれば認められることがあります。