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弁護士コラム

自動車保険ジャーナル株式会社が発行する「自保ジャーナル・2082号」に林田弁護士が対応した裁判の判決が掲載されました。

自保ジャーナルとは、被害者、加害者を問わず交通事故分野に関する有益な判例を掲載する「判例集」です。交通事故に特化した弁護士であれば、自身の交渉や裁判などにおいて自保ジャーナル掲載の判例を引用したことがあるはずです。
今回は、交通事故被害者にとって有益な判決を獲得しましたので、対応した林田弁護士が解説を行います。

今回の最大のポイント

1.後遺障害逸失利益

  • 後遺障害逸失利益を算定する際における基礎収入額をいくらとすべきか。
  • 専門学校卒業した者の基礎収入額の問題

2.過失割合について

  1. 直近右折
  2. あご紐不着用の場合の過失減額について

林田弁護士による解説

後遺障害逸失利益における基礎収入額

後遺障害逸失利益とは、後遺障害により将来得られなくなった収入を指します。
後遺障害逸失利益の算定式として考えられるのが、基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(喪失期間に対応するライプニッツ係数)です。
今回の争点は、この「基礎収入額」という問題です。後遺障害の賠償金の問題は「未来」の賠償も含むため、専門学校生の年収をいくらと設定するのが適切なのかという点で争いになりました。
被害者にとっては1円でも高ければ、賠償金額も上昇する形となります。

学生など交通事故の前年の収入がない被害者の方に対しては、厚生労働省の統計である「賃金センサス」というものを採用して検討されます。そして、この「賃金センサス」は、年齢、学歴、性別、職業などの属性で金額が異なります。
例えば、令和元年の男性、高卒、全年齢の平均年収は411万4600円です令和元年の男性、大卒、全年齢平均年収は671万4600円となっています。
このように、最終学歴が高卒であるか大卒であるかで賃金センサス上の「差」が生じます。

本件訴訟においては、専門学校生という属性であるが「大卒」と同等の賃金センサスを基礎とする金額で認定を獲得することになりました。
具体的には、被害者が、専門学校において高度な知識と技術を学び、大学卒業以上の知識と専門性を獲得したことなどから、将来に渡って大卒賃金センサス以上の収入を得られる蓋然性を証明していきました。
私が行った活動のひとつとして、被害者から専門学校で使用していた教科書を借り、言語聴覚士の知識や技術を学ばせていただきました。その中で専門学校における高度な知識や専門技術性の高さに圧倒されました。
このとき、被害者が専門学校で習得した知識や技術は、被害者自身の高度な専門制につながり、将来的に年収に繋がる事情の一つであると確信しました。
実際の訴訟においても被害者の知識や専門技術性の高さについて主張・立証を行っています。
以上のように、大卒平均賃金センサスと同等の収入を得られる蓋然性を証明することによって「後遺障害逸失利益」をしっかりと獲得することに成功しました。

今回は、「訴訟・裁判」という事例をもとに解説を行っていますが、実際の交通事故事件では「賠償交渉(話合い)」での解決が多いです。
ただ、「裁判」による結果は、弁護士の専門性や力量が明らかになる場面でもあると考えております。
弊所の事故・傷害部においては、「後遺障害の申請」「賠償交渉」、「訴訟・裁判」などのどの分野においても経験やノウハウを蓄積しております。
交通事故は、揉めていない事案においても賠償金があがる可能性があります。事故に遭ったら、弁護士法人グレイス事故・傷害部の無料相談にお気軽にお問い合わせください。