後遺障害の種類
耳の後遺障害について
耳の後遺障害には、いわゆる難聴と呼ばれる「聴力障害」の他に、耳の欠損や耳鳴り、耳漏などがあります。注意しなければならないのは、両耳に聴力障害が生じていても片耳ごとの等級による併合扱いにはなりません。等級表の両耳の聴力障害として認定されることになります。
聴力障害について
後遺障害認定申請にあたり、どのくらい聞こえているかの検査にはオージオメーターを用います(純音聴力検査)。また、言葉の聞こえ方と聞き分ける能力の検査にはスピーチオージオメーターを用います(語音聴力検査)。耳の後遺障害については3回の検査が必要で、検査の間隔を一週間程度空けなければなりません。等級の認定は2、3回目の平均純音聴力レベルの平均でなされます。
しかし、これらは本人の自覚によって検査されるものです。場合によっては他覚的な検査をしなければならないこともあります。その場合、検査結果を自分の意思でコントロールすることができない検査を行うことになります。
1つはABR検査といって、音の刺激によって脳がどう反応するかを検査するものです。もう一つはSR検査といって、耳の中の耳小骨とよばれる骨についている耳小骨筋が大音響に反応して収縮する作用を使って聴力検査をするものです。どちらも有力な検査方法ですが、ABR検査やSR検査について、全ての医療機関が設備を有している訳ではないところが難点です。
聴力障害の認定基準【両耳の聴力に関するもの】
4級3号 | 両耳の聴力を全く失ったもの |
6級3号 | 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
6級4号 | 耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が 40cm 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
7級2号 | 両耳聴力が 40cm 以上の距離では、普通の話声を解することができない程度になったもの |
7級3号 | 耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
9級8号 | 耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの |
10級5号 | 両耳の聴力が 1m 以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの |
11級5号 | 両耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
聴力障害の認定基準【片耳の聴力に関するもの】
9級9号 | 1耳の聴力を全く失ったもの |
10級6号 | 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの |
11級6号 | 1耳の聴力が 40cm 以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの |
14級3号 | 1耳の聴力が 1m 以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
耳鳴り・耳漏について
なぜ交通事故によって耳鳴りが生じるのかということについて、医学的には十分に解明されていません。しかし後遺障害認定の対象になります。後遺障害に認定されるには、原則として「耳鳴りが難聴を伴っている」ことが必要です。よってオージオメーターでの検査によって聴覚障害(難聴)がどれほどあるかを明確にしなければなりません。それに加えて、聞こえている耳鳴りの音の高さを調べるピッチマッチ検査と、耳鳴りの大きさを調べるラウドネスバランス検査を受ける必要があります。次に「耳漏」とは、交通事故の影響で鼓膜に穴が空いてしまい、外耳道から分泌物が流れ出してしまう症状です。これも耳鳴りと同様、後遺障害に認定されるには難聴を伴っていることが必要となります。
耳鳴り・耳漏の認定基準
12級相当 | ・難聴を伴い、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なもの ・難聴で、常時耳漏を残すもの |
14級相当 | ・難聴を伴い、常時耳鳴りを残すもの ・難聴で、耳漏を残すもの |
欠損障害
耳殻を欠損した場合、後遺障害に認定されることがあります。耳殻とは、耳のうち外から見えている部分についていいます。これは醜状と捉えることもでき、耳殻の欠損として後遺障害に認定されなくても、外貌醜状として認定される場合があります。
欠損障害の認定基準
12級4号 | 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
等級認定のポイント
耳の後遺障害については、耳に外傷を負っていない場合でも、頭部外傷によって聴覚神経を損傷して発生することがあります。よって、耳鼻科の他に神経内科や脳神経外科でも診察を受けなければならないことがあります。また、頭部外傷のない外傷性頸部症候群(むちうち)が原因で難聴や耳鳴りが生じることもあります。この場合は交通事故が原因であることを立証しなければなりませんので、なるべく早い段階でその症状に対応した検査ができる医療施設を探して検査を受けなければなりません。耳の後遺障害を立証する検査は特殊な点がありますし、医師によっては、等級認定に必要な検査を詳しく知らないこともありえます。特に地方では、検査機器がある医療機関も限られています。当事務所では交通事故直後から被害者の方の症状に合わせたサポートをしております。耳の後遺障害について必要な治療や検査、時期、そして検査機器が整っている医療機関についてもアドバイスいたします。お気軽にご相談ください。