親権を決める際に行いがちな行動(望ましくない行動)
1.違法な連れ去り
親権判断において、現在の日本の裁判所は「現状の尊重」を非常に重視します。
その結果、子を連れて別居し、その後安定的な環境を作成した場合、親権判断において有利に扱われることがまま見られます。
もっとも、既に別居が開始され、他方の親が子と安定的に暮らしている期間が相当長期に渡っているにもかかわらず、ある日突然もう一方の親が子を奪取して連れ去ったような場合、これを違法な連れ去りとして親権等の判断において不利に扱っている判例があります。
裁判所から見た際に強引に映る子の連れ去りは、親権を争う上でも好ましくない行動といえます。
2.面会交流への非協力
裁判所は、必ずしもフレンドリーペアレントルール(他方配偶者に関して肯定的な姿勢を示せる親の方が子の監護者としてふさわしいという考え方)を重視しているわけではありません。ただし、合理的な理由が一切無い中で面会交流を一方的に禁止することは、裁判所としても問題視する傾向にあります。通常、お子様にとっては両親双方がそれぞれ大切であり、親の事情のみで親子の絆を断ち切ってしまうのはその後のお子様の成長にとっても好ましくないからです。
面会交流の完全拒絶は、しばしば問題解決を困難な方向に導きがちですので、親権を希望されている場合にはやはり面会交流への最低限の協力は行っていくべきと思われます。
3.吹込み行為、印象操作
裁判所が行う親権判断では父母いずれとすることが子の福祉に適うかといった基準でおこなれます。
子が成人に近づいている状況(イメージとしては14歳程度から)では、裁判所は子自身の希望というものを非常に重視するようになります。また、それ以下であっても、子が両親のいずれに対して親和性を感じているかといった点も重視されます。そうした状況の中で、親権獲得を希望する親が相手方の悪い部分を子に吹き込んで子と相手方とを離反させようとすることがしばしばありますが、このような行為はお子様を双方の両親の間に立たせることになり、その精神に極めて重い負担を与えかねません。
態様が著しく悪質と裁判官に評価された場合、親権者として不適切という結論が下される可能性もあり得ますので、やはりこういった行動は控えた方が賢明でしょう。