はじめに

離婚すること自体は簡単です。「離婚届」という紙1枚に必要事項を書き、署名捺印するだけで完結します。
では、

  • 養育費について具体的に決めましたか?
  • 面会交流は、実施しますか?
  • 二人で建てた家は、どうされるのですか?
  • こつこつ貯めたお金はどうしますか?
  • 二人で決めた取り決めは、何かに記録しましたか?
  • 本当に今離婚して大丈夫ですか?
離婚協議の作成

もちろん、離婚しても、いつでも連絡が取れて、お子さまのことを相談できて、財産に関してもその都度話し合うことができる関係であれば、気に病む必要はありません。
しかし、離婚後は別々の人生を歩むことになります。再婚や転職、病気など離婚する時には想定していなかったことが起き、「言っていたことを守ってくれない」という状況にならないと言い切れるでしょうか。

当弁護士事務所では、このような不安や心配をしないためにも、離婚に悩まれている方々に『離婚協議書』の作成をお勧めしております。

離婚協議書の作成例はこちらです。(word版)

離婚協議書の作成例はこちらです。(pdf版)

作成例に沿って、最低限押さえておくべきポイントを紹介します。

離婚協議書と公正証書の違い

離婚協議書とは

離婚協議書とは

離婚後のことを夫婦で話し合い、取り決め内容を書面にしたものです。誰が作成しても問題はありませんが、専門家から内容の不備チェックや必要なアドバイスを受けるに越したことはありません。弁護士が作成したものであれば、お客様の状況に合った法律上の効力もある協議書を作成することができます。

公正証書とは

公正証書とは

「公証役場で、公証人が作成する、公的な」契約書です。高い証拠能力や証明力が備わっています。
金銭の支払いに関する項目を定めるのであれば「強制執行認諾文言・執行証書」の作成をお勧めします。もし金銭の支払い義務を持つ相手方が支払を怠った時には、改めて調停や裁判などの手続き行うことなく、すぐに「強制執行(財産の差押え)」ができます。金銭の支払い義務を持つ方も、財産の差押えを受けたくはありませんので、支払われなくなることを抑止する効果が高まります。
但し、作成には費用も発生しますし、夫婦のどちらかが作成を拒否してしまうと作成できませんので、注意が必要です。

【離婚協議書】作成ポイント8選

Point1 離婚

どちらが離婚協議書を提出するのか、協議書を取り交わして何日以内に提出するのかは定めておいた方が宜しいでしょう。
二人で決めて離婚協議書を作成したのに気が変わって提出しない、ということでトラブルになる方もいらっしゃいます。

Point2 親権

未成年のお子様がいらっしゃる場合は、法律上父母のどちらかを親権者として定める必要があります(民法819条1項)。

Point3 養育費

①いつから(始期)②いつまで(終期)③いくらを④どのように
という点を具体的に定める必要があります。
特に、養育費はお支払い期間が長くなるため未払いが問題となりやすい事項です。
また、「大学卒業まで」を終期とした場合、浪人した場合はどうなるかなど、不確定な要素が残り後にトラブルになりかねません。

Point4 面会交流

面会交流はお子様にとって重要な権利です。
お子様の年齢や成長度合い、状況等によって望ましい頻度等は変わります。
面会の場所や方法を具体的に定めすぎてしまうと、かえってお子様のためにならない可能性もあります。

Point5 財産分与

どのような財産が存在するのかをお互いが把握したうえで分与方法を決めましょう。
預貯金が代表的ですが、不動産や有価証券といった価値が変動するものや学資保険、生命保険、退職金など将来的に支払われるものまで財産分与の対象は多岐にわたります。

Point6 慰謝料

婚姻期間中に相手方の不貞行為や暴力行為等があった場合は、慰謝料として解決を図ることも考えられます。
慰謝料を定める場合は、額や支払方法をはっきりとした形で定めておきましょう。

Point7 年金分割

婚姻期間中に片方が厚生・共済年金に入っている期間がある夫婦が対象となります。
年金分割制度について、詳しくはこちらの頁を参照ください。
https://kumamoto.gracelaw.jp/rikon/check-pension-splitting/

離婚協議書において年金分割を定めた場合の注意点として、年金分割の請求については、離婚協議書を公正証書としない限り(公証役場で認証を受けない限り)は、当事者双方(または委任を受けた代理人)が年金事務所で行う必要があります。
詳しい手続については日本年金機構が作成したパンフレットをご参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/5-1.pdf

なお、3号被保険者(典型的にはサラリーマンの配偶者で扶養内の場合)であった期間(ただし、平成20年4月1日以降の期間に限られます。)については、離婚日の翌日から2年以内に、当事者の一方の請求により按分割合を50%として分割を請求することもできます。
https://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/kyotsu/3go-bunkatsu/index.html

Point8 清算条項

清算条項を定めることによって、離婚協議書の作成をもって紛争の終局的解決を図ることができます。
逆に、後から財産を見つけたりしても相手方に請求することは難しくなります。じっくりと話し合ったうえで署名捺印をしましょう。

以上が、離婚協議書の代表的な項目です。
なお、例えば養育費が払われなくなった場合を想定して「強制執行」を容易にするためにお二人の取決めを公証役場で『公正証書』として作成することも考えられます。

離婚協議書は当事者同士で作成することもできますが、「財産分与でどのように分けたらいいのかわからない」「養育費について二人で意見が対立してまとまらない」などの問題に直面することもあります。
そのような場合には、是非一度ご相談下さい。

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