1.「介護離婚」の増加

高齢化社会が加速するにつれ、「介護離婚」という言葉をよく耳にするようになりました。介護離婚とは、要は介護のストレスから離婚に至ることをいい、とくに妻が夫の両親(義父母)の介護をすべて任され、身体的・精神的に追い込まれた末に離婚するというケースが典型的です。

日本には、「嫁入りした女性は家族に献身的に尽くすべき」という昔からの考えが今なお根強く残っており、「妻が義両親の介護をするのは当然」と思っている人も少なくないようです。しかし、結婚して家族になったとはいえ、血のつながりのない義両親への介護はあくまで「善意の行い」にすぎません。そのため、自分ばかり介護をしていて夫が何も協力してくれない、また結婚当初より義両親と仲が悪く、献身的に介護をしても感謝の言葉どころか文句を言われ続けているといった場合には、その親切心も削られてしまい、介護をやめたい、離婚して自由になりたいと考えるのも仕方ないことと思われます。

2.介護を理由に離婚できるの?

そこで多くの人が疑問に思うのは、「介護を理由に離婚できるの?」ということではないでしょうか。離婚には大きく分けて、①合意による離婚、②裁判による離婚の2つがありますが、双方が離婚に合意していればその理由は問われないため、介護を理由に離婚することも可能です。もっとも、とくに介護に非協力的な夫は「妻が介護をするのは当然」と思っていることが多いため、介護を理由に離婚したいと伝えても納得してくれることはなかなか難しいように思われます。

他方、裁判による離婚の場合、法定離婚事由が必要となるため(民法770条1項各号参照)、介護をきっかけに夫婦関係が実質的に破綻しているということを裁判で立証してはじめて、離婚の可能性が出てきます。そこで、介護のことを相談したにもかかわらず一貫して非協力的な態度をとっている、もしくは「お前の頑張りが足りない」等のモラハラ的な言葉を投げかけられたなど、関係破綻の資料となるような日常のやりとりを事細かに記録しておくことをおすすめします。

3.おわりに

「介護を理由に離婚するなんて‥」と、後ろめたさを感じてしまう人もいるでしょう。しかし、介護は想像以上に心身にストレスを与えるものであり、それによって体調を崩す人も少なくありません。そして何より、夫やその兄弟姉妹等、本来介護をすべき立場にある者に協力を求めたにもかかわらず現状が何も変わらないのであれば、離婚もやむを得ないと思われます。介護を理由に離婚をお考えの方は、おひとりで悩まず、まずは一度当事務所にご相談ください。

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