目次
自衛隊のための離婚相談
(1)自衛隊、自衛官の離婚でよくある原因
自衛隊、自衛官の方は、時間に関わらず日夜業務に携わり、市民を守る一方、過酷な訓練、配属先への異動、国内外での転勤、官舎での単身赴任などで、家庭内でのすれ違いが増える夫婦も少なくありません。
特に、昨今の災害への対応などによって、労働時間に関わらない緊急連絡への対応など、これまでと比べて大きく環境の変化がある仕事の一つと言えます。
(2)自衛隊、自衛官の離婚におけるポイント:お子様に関する手当、婚姻費用、養育費
別居後の児童手当の切替、退職金の有無などについて、気を付けなければなりません。
勤務地、勤務状況、家族との同居、官舎への居住の有無などにより、自衛官としての給与に加えて、何らかの手当が付加されている場合には、同手当の金額、入金後の取り扱い、変更の届出先等をしっかり確認しておく必要があります。
また、婚姻費用(別居後にも同居時と同様の生活が出来るように、離婚交渉の間、又は、同居再開までの間、扶養義務に基づいて支払を求められる生活費のこと)や、養育費を双方の収入に応じて算定するためにも、話し合いをしておく必要があります。
配属先へ離婚の話を伝えること自体に心理的な抵抗がある方も多いため、話し合えるのであれば、可能な限り、別居前に確認をしておくことが望ましいです。
(3)自衛隊、自衛官の離婚におけるポイント:財産分与、退職金
退職金については、退職するまで仕事を続け、退職金という財産を形成するまでに、もう一方の配偶者の寄与があったものとみて、将来の財産であっても、例外的に財産分与の対象とすることがあります。
自衛官は、その他の職業と比較して若年での退職をすることが多いですが、早期に退職となっても、階級や任期に応じて支払われる若年退職者給付金や任期満了金があります。
定年退職を迎える年代のご夫婦の離婚でない限り、離婚の話し合いをしている時点で、実際に退職金を受け取っていることは少ないです。未だ支払われていない退職金は、金額が変動する可能性、退職が間近に迫って近い将来退職金が支払われることが確実であるかどうか等の様々な要素を考慮して、金額を算定することになります。
この点、自衛隊は、比較的、定年の年齢まで勤めることが多く、かつ、廃業することもないため、財産分与の対象に含めて、話し合うことが考えられます。
退職金について話し合う際、将来の金額を算定することは難しいこともありますが、退職金見込み証明書等が得られない場合であっても、同様の立場の自衛隊の賃金に関する統計調査、防衛省の職員の給与等に関する法律、及び、自衛官俸給表などに基づき、雇用形態、就業形態、性別等から、退職金の見込み金額を主張することもあります。
そもそも、夫婦間で財産分与の話し合いをしているときには、退職金を見落として、現在ある財産(預貯金、不動産など)のみを対象に財産分与の約束をする方も多いです。
(4)自衛隊、自衛官の離婚におけるポイント:不動産
自宅の購入については、駐屯地への異動、配属先に官舎があること等の理由で、自宅不動産の購入を控える方も多いです。
官舎を利用する方や、配属先にて単身赴任をする方も多い職業であるため、別居を開始した時期や、財産分与の対象に影響する同居期間の算定にあたっては、一緒に暮らしていなかった時期の評価が争われることも多いです。
購入した方には、民間の金融機関にて住宅ローンの審査を受ける場合と、防衛省共済組合の住宅貸付を申し込んで将来受け取る退職金から返済をする場合があるため、確認をする必要があります。
(5)自衛隊、自衛官の離婚におけるポイント:年金分割
自衛隊が加入している共済や年金、配属や異動時に勤続年数に応じて受け取った退職金と同じ性質の金銭の有無等、話し合って聞き取りをしなければならない事実も多いです。
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